0から始める高校地理まとめ

高校地理では、中学地理をさらに深く見ていくことになります。もちろん、それはどの科目でも当たり前のことにはなりますが、高校地理ではさらに深く物事を考えられるか、そしてどうしてそのようになるのかという背景を読み取ることが出来るかという観点が重要になってきます。それでは各単元をどのように見ていけば良いかを出来るだけ分かりやすくお伝えします。


高校地理①

系統地理と地誌

高校地理では学習を効率よく進めていく為に、軸を大きく2つに分けています。それが、「系統地理」と「地誌」になります。この2つは相互に関連しあっている為、どちらか一方を深く勉強すれば良いというものでもありません。双方の理解を深めていくことが高校地理、さらには大学受験を攻略するためには重要になってきます。
このように言うと、系統地理と地誌を別々に学習するのは大変ではないかと思う人もいるかもしれません。しかし、実は中学校の地理においても、系統地理と地誌はそれらの言葉が出されないだけで、授業で必ず学習している内容になりますので、難しく構える必要はありません。「効率よく理解していく為に、2つの軸で地理を学んでいくもの」と理解すれば、それだけで十分です。

系統地理とは

系統地理とは、言葉自体、普段は使わない難しいものですが、簡単に言うと、地理をテーマ(単元)ごとに見ていこうとするものです。例えば、地形や気候、農業や工業、さらには交通や現代社会の課題など、様々なテーマをそのテーマごとに見ていくものなので、系統地理という言葉ほど難しく感じるものではないでしょう。
しかし、系統地理の内容をキチンと理解しておかなければ、地誌の内容がスムーズに入ってきません。地誌を学習するうえでは、必ず必要となる事前知識が系統地理にはたくさん含まれています。言い換えれば、系統地理の内容を理解出来ていれば、地誌も効率よく理解することが出来ますので、その点を頭に入れておきたいところです。

地誌とは

地誌とは、系統地理で学習した内容を、アジアやヨーロッパ、北アメリカ等、各地域にそれぞれ落とし込んだものになります。つまり、その地域の地形や気候、農業、工業等を細かく学習していく分野です。中学校でも各地域をそれぞれ取り上げて学習をしたと思いますが、高校ではさらに深く学習していきます。地誌では、系統地理で学習した内容を理解していれば、地形や気候等はスムーズに理解出来ますので、例えば、農業はその地域の気候によって内容が変わってくることも容易に理解出来るはずです。

系統地理と地誌どっちから学習するべきか?

効率よく学習をしていきたいのであれば、まずは系統地理から学習していきましょう。大きな理由として、系統地理で扱うテーマ(例えば地形や気候、農業等)は地誌でも必ず出題される為です。それに加えて、例えば、気候分布の特徴を知っておけば、どの地域にどのような気候が分布しているかもスムーズに理解出来ます。そして、先述の通り、どのような気候が分布しているかによって、農業(稲作が盛ん、酪農が盛ん、焼畑農業が盛ん等)の分布も容易に推測出来ます。
このようにまずは大枠でテーマごとに区切られている系統地理を学習していくことが、各地域に焦点を当てる地誌へのアプローチに繋がっていきます。

高校地理③
※系統地理と地誌の相関図イメージ

系統地理の学習ポイントまとめ

地形

地形はどのように発達して出来たのかを理解することと、それがどこに分布しているのかを理解することが大切です。特に小地形(例えば、扇状地や氾濫原等)では、形成要因を知ることで、その地形がどのように利用されているかを掴むことが出来ます。そして、農業など、他の系統地理分野でもその知識を活かせますので、次の気候と合わせて、最初に学習しておきたい分野になります。

気候

どのようにその地域の気候が形成されているかを理解することが一番大切です。基本的には赤道に近い地域ほど高温多湿で、両極に近い地域ほど低温乾燥しており、どこでどういった気候が分布してるかを大枠で理解することが出来ますが、地形や風、海流の影響によって、赤道に近いにも関わらず涼しい気候が広がっていたり、周辺は雨が降る地域であるにも関わらず、その地域だけ乾燥し砂漠になっていたり等、局所的に様々な要因が重なって特殊な気候を作り出している場所はテストでも出題されやすいです。

農業

農業分野の学習に取りかかる前に、世界の気候分布を頭に入れておきましょう。というのも、農業はその土地の気候によって出来るもの・出来ないものに分けられてしまうからです。
例えば、雨が降らない地域で、水を多く必要とするコメの生産は出来ないということです。そして、各国ではどのような農業が発達しているかを、その理由とともに覚えることで、その国の背景まで理解することが出来ます。こちらも例を挙げると、地誌で後述しますが、ヨーロッパに支配されていた旧植民地の国々ではプランテーション農業が発達しており、そこで生産されている農作物がその国の経済を支えているなんていう話はよくあるものです。
農作物も様々な種類があり、どこで多く生産されているかを理解することはとても大変ですが、人口の多い国、面積の広い国では生産量が相対的に多くなることを覚えておけば、スムーズに内容を理解出来ます。

工業

工業は基本的には、先進国で発達していますが、近年目まぐるしく経済成長を遂げているBRICSや、その他アジアや南アメリカの国々にも注目をしましょう。基本的に、人口の多い国では工業が発展している傾向があります。ですので、学習効率を上げるために、人口の多い国を覚えることも有効な手段の一つです。
現在の世界では、ITが大きく発達してきていますので、IT関連の問題が出題されることが多いです。これまで工業の中心国と言えば、アメリカや中国、日本、ヨーロッパの国々を思い浮かべる人も多くいるかもしれませんが、昨今ではインドも仲間入りしてきますので、
これらの国々は必ず確認するようにしましょう。

林業・水産業

林業については、様々な樹木がありますので、それらがどこに分布しているか、そしてどのように利用されているのかを理解していきましょう。それに加えて、昨今は森林減少が世界の環境問題として大きく取り上げられています。例えば、タイのマングローブ林が減少しているのは、エビ等の養殖が原因と言われています。このように、環境問題にも通じる部分がありますので、林業が抱える課題にも目を通しておきましょう。
水産業については、当たり前ではありますが、海に面している国で多くなります。また、水産業は付近に流れている海流によって漁獲出来る海産物が変わってきますので、暖流と寒流の違いも含めて、理解が必要です。さらには、暖流と寒流がぶつかる場所(潮目・潮境)は様々なプランクトンが集まるため、好漁場となります。地図上で潮目を探しておき、その沿岸国をマークしておきましょう。

人種・民族

世界には様々な人種・民族がいますが、特に重要なことは、欧米の植民地となっていた国々に注目することです。特に南北アメリカでは混血人種が人口の大半を占めている点を留意しましょう。
加えて、世界では様々な民族対立が発生していますので、その対立の背景を理解しておけば、テスト対策には十分です。

人口問題

現在、世界的に人口が増加していますが、具体的にどのような地域で人口が爆発的に増えているのかを理解しましょう。どの地域が大きく人口が増加しているかを見極める問題は多く出題されます。

村落・都市

どういった場所に村落・都市が形成されたか、その背景を理解する必要があります。地形的原因や、時には文化的要因(例えば、宗教が影響し、それが色濃く反映されている)等、様々な理由を理解することが大切です。

現代社会の課題

環境問題や国家間の問題等、現代社会には世界が直面している大きな困難があります。どのような背景があるのか、また、我々がどのように解決しようとしているのかが頻出ですので、自国、さらには国家間の取り組みを見ていきましょう。

図法・地形図

高校地理では、メルカトル図法やモルワイデ図法、サンソン図法等、様々な地図が登場します。地図上では全ての指標を正しく表すことが出来ないため、それぞれに特化するように地図は作られています。ですので、それぞれの地図がどのような用途で使用されるかを理解しましょう。
地形図においては、まずは地図記号を覚えることから始めます。そして、問題を解くうえでは、必ず縮尺を確認するようにして下さい。縮尺が違うだけで例えば、地図上の1㎝が示す距離が変わりますし、等高線の引かれる間隔も変わってきます。地形図の読み取りはとにかく演習量を積むことが、マスターへの近道になります

地誌の学習ポイントまとめ

高校地理④

アジア

地誌のアジアは大きく、東アジア、東南アジア、南アジア、西アジアに分けられます。アジアは面積が非常に広いため、場所によって地形や気候、農業、ひいては文化に至るまで、大きく変わってきます。ですので、まずは、「アジアだからと言って、場所が多少違っても似たような特徴を持つだろう」と思わないようにすることから始めましょう。
さらにはアジアでは他の地域以上に、それぞれの国を詳しく理解していく必要があります。というのも、今後もアジアは世界を大きく牽引していく地域ですので、テスト等ではアジアの問題が多く出題される傾向にあります。さらには、東アジアに属している日本にとっては、近隣の韓国や中国には他国以上に目を向ける必要があります。
また、東南アジアや南アジアは、欧米の植民地として、支配されていた歴史を持っていますので、ヨーロッパとアジアの文化が入れ混じっている点も認識しておきましょう。例えば、イギリスの植民地であったインドでは、準公用語は英語と定められています。また、東南アジアには、欧米資本のプランテーション農業がいまだに根強く残っており、例に、天然ゴムの生産量はインドネシアやマレーシアなどが大きくシェアを占めていることから分かる通り、欧米主導で国の産業が定められてきた歴史があります。
以上から、アジアを一緒くたにするのではなく、なぜそのような文化が根付いているのかを歴史的背景から読み取ることが出来るよう、意識して学習することがアジアを制する第一歩になるでしょう。

ヨーロッパ

ヨーロッパは世界で最初に近代化を遂げた国である一方、農業も非常に盛んな地域です。ですので、農工業それぞれ、生産量や生産場所等、特徴的ですので、両方に目を配る必要があります。
気候は、地中海地域、大西洋側、そして東欧地域によって大きく変わってくるため、雨温図の問題が数多く出題されます(もちろん、気候が違うということは農業も地域によって大きく変わってくることは事前に説明済みですね!)。
そして、さらに大切なポイントとして、ヨーロッパは昔から争いが多かった地域ですので、第二次世界大戦後には、各国が協力して経済共同体(現在のEU、前身のEC)が設立されています。このようにそれぞれの国が歩み寄ってきた背景があり、それをお手本として、世界各国のそのような経済共同体や協力体制が構築されたことも理解して、「なぜそのような取り組みをしているのか」という背景を捉えて学習すると、効率よく学習内容を自身に落とし込むことが出来るでしょう。

アフリカ

アフリカには、ヨーロッパに植民地支配されていた過去があります。その結果、今でもヨーロッパの言語(英語やフランス語等)が公用語として設定されている国が多くありますし、さらには、アジアでも出てきたプランテーション農業が、アフリカにおいても根強く残っています。
このように、ヨーロッパが現在のアフリカ文化を作り上げたと言っても過言ではありませんので、どの国(宗主国)に支配されていたかを細かく覚えていきましょう。
また、農業は焼畑農業やプランテーション農業で生産されている農作物を理解すること、鉱業では、どの国で何の鉱物が多く採掘されているかを理解しましょう。工業については、他地域と比較すると、発展が遅れていることから、詳細に見ていく必要性は薄いですが、最低限、BRICSの一国である南アフリカの特徴は押さえておきましょう。

北アメリカ

北アメリカではオセアニアと並んで、スポットを当てる国がアメリカ、カナダ、メキシコと少ないことが特徴です。しかし、ご存じの通り、アメリカはあらゆる面で大きな影響力を持つ国なので、北アメリカの問題が出題された際には、必ずアメリカに関わる問題が出題されます。難しいテストの場合、かなり詳細な部分まで理解していないと、問題に解答出来ない場合もあるでしょう。ですので、北アメリカと言われたらアメリカに関する分野は隅々まで理解しておくことが必要です。
また、アメリカやカナダ、メキシコはヨーロッパの植民地だった歴史があります。ですので、他地域と同様に、宗主国がどこであるか、どういった影響が残っているかを必ず押さえることが大切です。

南アメリカ

南アメリカも他地域と同様にヨーロッパの植民地として支配されていたため、いまだにその文化が残っています。しかし、大半はスペイン、ブラジルはポルトガルに支配されていたため、ラテン文化であることを理解しておけば、覚える内容はそう多くはありません。
南アメリカはアジアと同様に目まぐるしい経済成長を遂げている地域ですので、テストでは出題されやすい分野となります。しかし、同じ地域の中でも経済発展をしている国とそうでない国に分かれておりますので、その違いを明確に理解できるように努めましょう。例えば、ブラジルはBRICSにも含まれる国で、様々な工業が発達していますが、ベネズエラは石油の生産にいまだ頼っているモノカルチャー経済の国です。農業国と工業国がどこなのかを押さえておくと、南アメリカの抱えている課題が見えてくるかもしれません。

オセアニア

オセアニアは多くの島国で形成されている地域になります。数多くの国が分布していますが、重点的に理解する必要があるのは、オーストラリアとニュージーランドです。特に、オーストラリアは農業と鉱業が非常に盛んな国です。国土も広いため、どこでどの様な農業が発達しているのか、そしてどこで石炭や鉄鉱石が採掘されるのか等、地形や気候を頭に入れた上で、違いを明確に理解する必要があります。

おおよその概要をまとめましたが、全てに通じる大切なことは、「なぜそのようになっているのかを理解すること」です。
地理は暗記ではなく、物事の背景(裏側)を知ることが大切になってきます。ですから、高校地理では単語を解答する問題よりかは、思考力を見る問題が多く出題されます。
その対策には、原因と理由を探る学習習慣を癖づけることが重要になってきますので、まずはそのように意識することから始めてみてはいかがでしょうか。
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