身のまわりの現象

この単元で学習する光、音、力は目には見えませんがとても身近なものです。
そのためほとんど日常生活において意識したり考えるたりすることはないのではないでしょうか。目に見えにくい分野だからこそイメージと理論をしっかり持つことが重要になります。
それではこれら3つについて学習していきましょう。

身のまわりの現象

物の見え方

私たちの身のまわりの物体は自ら光を出しているか、その光を反射することによって目で見ることができます。
「物体が見える=物体からの光が目に入る」という事です。自ら光を出しているものには、太陽、蛍光灯やLEDなどのあかり、ろうそくの火などが挙げられます。このようなものをまとめて「光源」と呼びます。

光源からでた光は何かにぶつからない限り真っ直ぐに進む特徴を持っています。これを「光の直進」といいます。

また、光源からでた光は様々な方向に広がり、私たちの目に直接届くか、他の物体に当たって跳ね返ってから私たちの目に届きます。このように光が物体の表面ではね返ることを「光の反射」といいます。

さて、光と先程から書いていますが、皆さんは光そのものを見たことがありますか?実は光は見ることができません。部屋に差し込む光の筋なんかを見たことはあると思いますが、実は空気中のちりやほこりが反射して見えるものです。
直接は見えませんが、逆に言えば上記の通り、何かに反射し、その光が目に入れば私たちはものを認識することができるのです。

反射

鏡に光を反射させた時、鏡の面に垂直な線と入射した光がなす角を「入射角」、反射した光がなす角を「反射角」をいいます。
どんな角度で入射しても、入射角と反射角は等しくなり、これを「光の反射の法則」といいます。
身のまわりの現象1
これは鏡だけでなく、平らなガラスや水面でも同じです。
また、表面に凹凸がある場合もこの法則は成り立ちますが、その場合は様々な方向に反射します。これを「乱反射」といいます。

屈折

光が空気中から水中やガラスなどの透明な物体にななめに入射するとき、境界面で光が曲がります。
これを「光の屈折」といいます。境界面に垂直な線と屈折した光がなす角を「屈折角」といいます。

光が空気中から透明な物体へ進む場合は「入射角>屈折角」となり、逆に光が透明な物体から空気中に進む場合は「屈折角>入射角」となります。
身のまわりの現象2
ある程度の角度までは屈折して光は進みますが、入射角が一定以上大きくなると境界面を透過せず、全て反射してしまいます。この現象を「全反射」といい、光ファイバーがよく例で挙げられます。
水槽を横から見た時、水面が鏡のようになる現象も、この全反射です。

凸レンズのはたらき

凸レンズとは、虫眼鏡のように中央部が膨らんでいるレンズをいいます。凸レンズに光を当てると、中央ではそのまま直進し、レンズの淵では屈折し、やがて一点に集まります。この光が集まる点を「焦点」といいます。
また、凸レンズの中心から焦点までの距離を「焦点距離」といいます。
身のまわりの現象3
凸レンズを通して近くの物体を見ると大きく見えますが、遠くの物体を見ると小さく、しかも逆さまに見えます。このように凸レンズを通してスクリーンなどに物体がうつって見えるものを「像」といいます。
像は大きく分けて2種類、「実像」と「虚像」があります。

実像は物体を凸レンズの焦点より外側に置いたときにできる像をいいます。スクリーンにうつすことができ、実際の物体と比べて上下左右が逆になることが特徴です。
身のまわりの現象4
虚像は物体を焦点より内側に置いたときにできる像をいいます。
物体を焦点より凸レンズに近づけると光が集まらないため、スクリーンにうつすことはできません。虚像は凸レンズを通してみると実際の物体より大きく、同じ向きに見えます。
身のまわりの現象5

音の伝わり方

太鼓をたたくと表面が振動します。声を出すと喉が振動します。
このように振動して音を出す物体を「音源」といいます。私たちが音を聞くことができるのは、物体の振動が空気を伝って耳に届くからです。

花火や雷を見た時、光ってからしばらくして音が聞こえるという経験をしたことがあると思います。これは音の伝わる速さが空気中では秒速約340m/sと、光の速さ(秒速約30万km/s)に比べて遅いからです。ちなみに音は空気中だけでなく液体、固体中でも伝わります。

音の大小・高低

弦を強い力ではじくと大きな音が出ます。このとき弦は大きく動きます。
振動の中心からの幅を「振幅」といい、音源の振幅が大きいほど大きな音が出ます。

また、弦が一秒間で振動する回数を「振動数」といい、振動数が多いほど音は高くなります。振動数の単位はヘルツ(Hz)が使用されます。

日常生活における力

押す、引っ張る、持ち上げるなど、日常生活の様々な場面で力を使います。
力はかならず物体と物体の間ではたらきます。物体が1つの力を受けているのは次の3つの場合です。

①物体の形が変わる
②物体が支えられる
③物体の運動の状態が変わる(動いていた物体が止まる、止まっていた物体が動き出す、逆向きに動き出すなど)

力は原則として物体同士が触れ合う時にはたらきますが、物体同士が離れていてもはたらく力があります。それが重力、磁力、電気の力です。

地球上の物体はすべて地球からの引力を受けています。これが「重力」です。重力は地球の中心方向に物体が引っ張られる力なので、地球の反対側の物体が地球から落ちることはありません。
地面と接しているときだけでなく、落下中の物体や空を飛ぶ物体、その中の物体にもはたらきます。

磁石にはN極とS極があります。異なる極同士では引かれ合い、同じ極同士では反発するこの力を「磁力」といいます。

また、電気にも+の電気と-の電気があります。こちらも異なる電気同士は引かれ合い、同じ電気同士では反発するこの力を「電気の力」といいます。

力のはかり方

力からの大きさをはかる道具としてばねばかりが用いられます。
これはばねの弾性(変形させられた物体が元に戻ろうとする性質)を利用したものです。

ばねばかりにおもりを吊るしても手で直接引っ張っても、ばねの伸びが同じであれば力は同じ大きさとなります。
力の大きさの単位はニュートン(N)が使用され、1N≒100gの物体にはたらく重力の大きさとなります。

実験をすると、ばねの伸びはばねを引く力の大きさ(吊るすおもりの重さ)に比例することがわかります。
この関係を発見したイギリスの科学者(ロバート・フック)にちなんで「フックの法則」と呼ばれています。フックの法則により、ばねの伸びから加えられた力の大きさを求めることができるのです。

ところで、重力の大きさは地球上でも場所によりわずかに異なります(遠心力により赤道付近では重力は小さく、逆に極付近では大きくなります)。ばねばかりではかることができるのは「物体にはたらく重力の大きさ」です。
よって同じ物体を異なる場所ではかると値が変わります。

このような値を理科では「重さ」と呼び、逆に物体その物の量を「質量」と呼んでいます。例えば地球上で60kgの人が月面上(重力が地球に比べて1/6)に行くと、10kgの重さになりますが質量は60kgのままとなります。

力の表し方

物体にはたらく力は、作用点(力のはたらく点)、力の大きさ、力の向きという3つの要素で表すことができます。
図にすると点と矢印で表せます。物体同士が触れ合っている場合、触れ合っている場所が作用点となります。

重力のように離れていてもはたらく力の場合は物体の中心(重心)を作用点とする矢印1本で表します。

また垂直抗力(地面や机などの面が物体を押し返す力)など面ではたらく力も同様に、面の中心を作用点として矢印1本で表します。
身のまわりの現象6

圧力

同じ力でスポンジを指先で押したときと手のひら全体で押したとき、前者の方がスポンジのへこみが大きくなります。
これは同じ面積あたりにはたらく力の大きさが異なるからです。

物体同士がふれ合う面に力がはたらくとき、その面を垂直に押す単位面積あたりの力の大きさを「圧力」といいます。圧力の大きさの単位にはパスカル(Pa)が使われます。圧力の大きさは次の式で求められます。

圧力(Pa)=(面を垂直に押す力(N))/(力がはたらく面積(m2))

この式から、面積が狭ければ狭いほど、同じ力の大きさであれば、かかる圧力は大きくなることがわかります。

水中ではたらく力

水中の物体は上下左右のあらゆる向きから、水からの圧力を受けます。
この水中ではたらく圧力を「水圧」といいます。

水圧は物体のある場所より上にある水の重力によって生じるため、深くなればなるほど大きくなります。同じ物体にかかる水圧でも、物体の上面にかかる水圧は下面にかかる水圧より小さくなります。深海魚を吊り上げると目玉や浮袋が飛び出ますが、これは深海魚にかかる水圧が一気に小さくなったことによるものです。

一方、水中の物体が上向きに受ける力を「浮力」といいます。
浮力は深さに関係せず、物体の水中にある部分の体積が増えるほど大きくなります。また、水中の物体にはたらく浮力の大きさは、物体の水中にある部分の体積にはたらく重力の大きさに等しいことがわかっています(アルキメデスの法則)。

物体にはたらく重力と浮力の大きさが等しいとき、物体は水に浮かび、物体にはたらく重力よりも浮力の大きさが小さいとき、物体は水に沈んでしまいます。

大気圧

地球は大気と呼ばれる空気の層におおわれています。
空気にもわずかながら質量がありますので、地表付近では上空の空気による圧力がはたらきます。
これを「大気圧」といいます。

壁に吸盤を付けたとき吸盤がはがれないのは、吸盤の内側の空気を抜くことにより、外からの大気圧が吸盤を壁に押し付けているからです。

大気圧は空気にはたらく重力によって生じています。
上空から海面までの空気にはたらく重力の置き差は1m2あたりおよそ100000Nなので、前述した圧力と同じように計算すると当然約100000Paとなります。

標高が高くなるほどその地点より上空にある空気の量は減りますので、大気圧も小さくなります。
頂に未開封のポテトチップスを持っていくとパンパンに膨らんでしまうのは、山頂での気圧が低いことに寄り、ポテトチップスの袋を押す大気の力(大気圧)が弱いためです。

〈光〉
・光は直進します。鏡などに反射した場合、入射角と反射角は等しくなります。
・光が空気中から透明な物体へ進むときは屈折角<入射角、透明な物体から空気中へ進むときは入射角<屈折角となります。
・物体が凸レンズの焦点より外側にあるとき、上下左右が逆向きの実像ができます。
・物体が凸レンズの焦点より内側にあるとき、上下左右が同じ向きの虚像ができます。
〈音〉
・音は波として気体、液体、固体などあらゆる物体の中を伝わり広がっていきます。
・音源の振幅が大きいほど音は大きくなります。音源の振動数が多いほど音は高くなります。
〈力〉
・力が加わると①物体の形が変わる、②物体が支えられる、③物体の運動の状態が変わるといったはたらきが見られます。
・物体にはたらく力は、作用点(力のはたらく点)、力の大きさ、力の向きの3つの要素によってあらわすことができます。
・同じ大きさの力がはたらいているとき、接する面積が狭いほど圧力が大きくなります。
・水中にある物体にはたらく重力と浮力の大きさが等しいと、その物体は水に浮きます。浮力が小さいと沈みます。
・大気圧は海面では約100000Paです。標高が高いところに行くほ大気圧はど小さくなっていきます。
改めて文章として読むと難しそうだったかもしれませんが、光の反射や音、圧力、浮力などなど、この単元で学習したものはどれも日常生活においてみたことがある現象、実感したことのある現象ばかりだったと思います。
作図や計算については詳しく触れませんでしたが、さらに点数アップを目指している方は是非取り組んでみるといいかもしれません。
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