大地の変化
私たちの住んでいる地球は、常に静かであるわけではありません。
火山の噴火や地震による大きな揺れなどによって大地そのものが動いています。
特に日本はこのような自然現象が多い国です。ここでは火山、地震、地層について学習し、大地がどのように変化するのか、また私たちの身の回りの自然を構成しているものはどのようなものなのかを学んでいきます。
それではこれらについて学習していきましょう。
火山
マグマと火山
地球内部の熱や圧力により、上部マントルの岩石が溶けてできたものを「マグマ」といいます。
発生したマグマは周囲の溶けていない岩石に比べると密度が低く、浮力を受けて上昇します。深さ数kmまで上昇すると、周囲の岩石との密度差がなくなり、マグマの上昇はストップし、マグマが溜まった「マグマだまり」を形成します。
マグマから水や二酸化炭素などが気体となることでマグマが発泡し、地表付近の岩石を吹き飛ばし「噴火」が起こります。
また、噴火時にマグマそのものが地表に噴き出すこともあります。マグマが地表に噴出することによってできた山を「火山」といいます。
マグマの中に含まれる二酸化ケイ素の含有量によって、火山の形や岩石の色が決まります。
二酸化ケイ素が多いほど、粘り気が強く、溶岩の色は白っぽくなります。
流れにくい溶岩のため、火山の形もドーム状に盛り上がった形になります。
逆に二酸化ケイ素が少ないほど粘り気が弱く、黒っぽい溶岩になります。
流れやすい溶岩のため、火山の形は傾斜の緩やかな火山になります。
火山噴出物
噴火によって火口から噴出されるものを「火山噴出物」といいます。
火山噴出物には次のようなものがあります。
- 溶岩
- 火山灰
- 火山礫
- 火山弾
- 火山ガス
- 火砕流など
鉱物
鉱物とは、岩石を構成する石のことをいいます。
岩石がカレーなら、中に含まれる具材のニンジンやタマネギ、ジャガイモなどが鉱物といえます。
鉱物には色のついている有色鉱物と、白っぽい無色鉱物があり、中学理科で扱うものは7種類しかありません。
火成岩
マグマが冷え固まってできた岩石を「火成岩」といいます。火成岩には「火山岩」と「深成岩」の2種類があります。
マグマが地表や地表付近で急速に冷え固まったものを指します。火山灰などの火山噴出物も、もとはマグマからできているので火山岩の一種といえます。
火山岩は短時間で冷えるため、ほとんどの鉱物が大きく結晶化することができません。
非常に小さな鉱物やガラス質の部分(石基)の間に比較的大きな鉱物(斑晶)が散らばって見えます。このようなつくりを「斑状組織」といいます。
マグマが地下深いところでゆっくり冷え固まったものを指します。
深成岩は火山岩と異なり、十分な時間をかけて固まるため、ひとつひとつの鉱物がしっかりと結晶化することができます。
その結果、同じくらいの大きさの鉱物が集まっているようなつくりをしており、このつくりを「等粒状組織」といいます。
火成岩はそのつくりと組成(構成される鉱物の種類)によって6種類に分類されます。
6種類すべて暗記できればそれに越したことはありません。
ただ、難しいという人はまず火山岩なら安山岩、玄武岩、深成岩なら花崗岩だけ覚えましょう。テストでよく出題される岩石です。
地震
地震の揺れ
地震には、初めに小さく小刻みな揺れ(初期微動)と、その後に来る大きな揺れ(主要動)かあります。
初期微動が始まってから主要動が始まるまでの時間を「初期微動継続時間」といいます。
地震の揺れの大きさは、「震度」で表されます。
震度は0~7までの10段階(5と6にはそれぞれ弱、強があります)で表され、地震が起こると各地の観測点にある震度計で揺れの大きさが観測されます。
地震の波
地震の揺れは地盤の固さによって多少前後しますが、ほぼ一定の速さで伝わります。
初期微動を伝える波を「P波(Primary wave)」、主要動を伝える波を「S波(Secondary wave)」といい、P波はS波よりも早く伝わります。
地震が発生すると、震源ではP波とS波が同時に発生します。
しかしP波の方が速度が速いため、先に観測地に到着し、遅れてS波が到着します。
震源から観測地までの距離が長いほどP波とS波の到着時刻の差が大きくなるため、初期微動継続時間は震源からの距離に比例して長くなります。
地震の規模
地震の規模(エネルギーの大きさ)は、マグニチュード(記号:M)で表されます。
マグニチュードが大きいほど、大きな揺れが伝わる範囲が広くなります。
そのため震源の深さが同じ場合、マグニチュードが大きい地震の方が震央付近での震度が大きくなります。
また、マグニチュードが同じ場合、震源が浅い方が震央付近での震度が大きくなります。
地震が起こる仕組み
地球の表面は「プレート」と呼ばれる岩盤に覆われています。
日本列島付近には大陸プレート2つ(北アメリカプレート、ユーラシアプレート)と海洋プレート2つ(太平洋プレート、フィリピン海プレート)、計4つのプレートが集まっています。
プレート同士はお互いに少しずつ動いているので、プレートの境界、またプレートそのものに大きな力が加わります。
この力によりプレートのひずみが起こり、耐えられなくなると破壊され、ずれが生じます。このような仕組みで「断層」ができ、このとき地震が起こります。
地下の浅いところが震源の地震が起こると、そのときの大地のずれが地表に断層として残ることがあります。
このような断層はその後も繰り返しずれが生じることが多く、再度ずれる可能性のある断層を「活断層」といいます。
活断層によって引き起こされる地震は内陸型地震と呼ばれます。活断層を調べることにより、将来どのような地震がどこで起こるかをある程度予測することができます。
日本列島付近では、2000以上の活断層が現在見つかっています。
日本列島付近では海溝のところで海洋プレートが大陸プレートの下に年間数センチずつ潜り込むような形になっています。
このとき、大陸プレートは摩擦のため海洋プレートに引きずり込まれてひずみが生じ、耐えきれなくなったときに突然はね返ります。
これが海溝付近で起こるプレート境界型の地震です。
このような地震は海溝型地震と呼ばれています。
震央が太平洋である場合、津波を引き起こすことがあります。
地層
地層のでき方
地層は、海底に土砂が堆積することによってできることがほとんどです。
海岸近くの浅い海底には、粒の大きい礫や砂が、沖合の深い海底には、粒の小さい泥が堆積します。
海底だけでなく湖や沼、また火山灰の場合は陸上に堆積することもあります。
地層には以下のような特徴があります。
- ほぼ水平に堆積し、地面と平行なしま模様が見られる
- 地層をつくる礫や砂の粒は、運ばれる間に角が取れて丸くなることが多い
- 化石を含むことがある
- 基本的に下の層ほど古く、上の層ほど新しい(地層累重の法則)
かたい岩も、雨風や気温の変化によって、長い年月をかけて少しずつもろくなり(風化)削られて(侵食)いきます。
そして小さくなったものは河川などを流れる水によって下流へと運ばれて(運搬)行きます。
その後平地や海岸など、水の流れが緩やかになったところで堆積するのです。
流水のはたらきによって運ばれてきた土砂は、粒の大きいものから海岸に近いところに堆積するため、沖に向かって粒の大きさは小さくなっていきます。
そのため海岸から沖にかけて、粒径の異なる地層ができます。
沖まで運ばれた土砂は、大きい粒の者から先に沈んでいくので、1つの地層の中でも粒の大きさが変化します。
また、あまりにも陸から遠く離れた場所には、ほとんど土砂が流れ込みません。
しかしそのような場所には何もないわけではなく、プランクトンの死がいなどが堆積し地層ができます。
堆積物
堆積物には次のようなものがあります。
- 礫…粒の大きさが2mm以上のもの
- 砂…粒の大きさが1/16mm~2mmのもの
- 泥(シルト)…粒の大きさが1/256mm~1/16mmのもの
- 泥(粘土)…粒の大きさが1/256mm以下のもの
- 火山灰などの火山噴出物
- 生物の死がい
堆積岩
地層をつくる堆積物は、様々な力で押し固められると「堆積岩」になります。
各堆積物が固まると次の堆積岩ができます。
- 礫…礫岩
- 砂…砂岩
- 泥…泥岩
- 火山灰…凝灰岩
- 生物の死がい…石灰岩、チャート
石灰岩はサンゴや貝類、フズリナなど石灰質をもつ生物の死がいが堆積したものです。
主成分は炭酸カルシウムで、塩酸をかけると二酸化炭素が発生し溶けます。
対してチャートは主成分が二酸化ケイ素で、この成分を持つ放散虫などの殻や骨が堆積したものです。非常にかたく、塩酸をかけても溶けません。
石灰岩とチャートの違いはよくテストで出題されますので覚えておくと良いでしょう。
また凝灰岩があると、堆積した当時、その付近で火山活動があったことがわかります。
離れている地層を比較するには、それぞれの地層の厚さや並びの順など、特徴のある地層を手掛かりにします。
特に凝灰岩(火山の噴火)は少ないので、あると目印にしやすいです。
このような地層を「かぎ層」といいます。
凝灰岩だけでなく、化石が含まれている層や珍しい元素(隕石由来)などもかぎ層としてよく使われます。
化石
生物の死がいなどが上に積み重なった堆積物の重みで固められたものを「化石」といいます。
地層をつくる堆積岩や、そこに含まれる化石などから、地層が堆積した当時の環境を推測することができます。
また、地層は基本的に下から上へと積み重なっていく(地層累重の法則)ことから、順につなげて考えることで、その土地の古い時代から新しい時代への環境がどのように変化してきたかを知ることができます。
地層が堆積した環境を推定するのに役立つ化石を「示相化石」といいます。
示相化石は、水温や水深、塩分濃度など、限られた環境でのみ生息できる種が適しています。
示相化石の例としては、サンゴ(暖かくて浅い海)やシジミ(河口や湖)、アサリ(海岸に近い浅い海)などがあります。
地層が堆積した年代(地質年代)を推定するのに役立つ化石を「示準化石」といいます。
示準化石はその時代に広く分布しており、化石が多く産出され、かつ進化速度が速い種が適しています。
大地の変動
隆起・沈降
海水面に対して土地が上がることを「隆起」、海水面に対して土地が下がることを「沈降」といいます。
海水面が一定に保たれて、それに対して土地が上がったり下がったりすることはありますが、逆に土地の高さが一定に保たれた状態で海水面が上がったり下がったりする場合もあります。
しかし、あくまで「海水面を基準」として隆起・沈降を考えますので、海水面が下がった場合は土地が隆起したということになります。
土地の隆起によってできる地形としては河岸段丘や海岸段丘が、沈降によってできる地形としてはリアス式海岸やおぼれ谷があります。
しゅう曲・断層
地層が大きな力で横から押され、波打つように変形することを「しゅう曲」といいます。
基本的には古い地層ほど下にありますが、このしゅう曲によって上下が逆になることもあります。
また、地層が大きな力で圧縮されたり、引っ張られたりすることで、ある面で断ち切られ地層がずれることを「断層」といいます。
水平方向に引っ張られると、断層面の上側のブロックがずり落ちる正断層が、水平方向に圧縮の力が加わると、断層面の下側のブロックが持ち上がる逆断層ができます。
まずはこの2点だけでも固めてしまいましょう。岩石・鉱物もこれと関連していますので覚えやすくなると思います。
ここでは触れませんでしたが、初期微動継続時間から、震源から観測地点までの距離を求める問題がよく出題されます。グラフの見方さえ抑えられれば計算自体は難しくありません。
発展問題で、ボーリングの図から地層の重なり方や各地点の地層の出方などが出題されることがあります。立体的に地層を見る力が必要になります。時間のある方はぜひチャレンジしてみてください。