日商簿記検定 3級・2級 合格者に聞く おすすめ勉強法

就職したら必ず関わってくるお金。コスト。 日商簿記検定は、日々動くお金を記録・計算・整理する技能を身に着ける為の資格です。 大学の推薦入学にも一役買ってくれる日商簿記検定。 受験を控えた学生の人、必見です。

日商簿記検定とは

日商簿記検定はどのような資格?

日商簿記(にっしょうぼき)という資格を耳にしたことがあるでしょうか。

日商簿記は企業外部との売買取引を正確に計算、記録、整理し、経営成績と財政状態を明らかにするための技能になります。

簡単に言えば、家庭でつけるお小遣い帳や家計簿の企業版言えるでしょう。

また、日商簿記を取得していると、大学の推薦入学に有利になる。というメリットがあるようです。

受験を控えた学生の皆さんにおすすめの資格になります。

学生だけではなく、業種、職種に関わらず社会人として身につけておきたい基礎知識になりますので、持っていて損はない資格の一つと言えるでしょう。

受験方法

簿記には「1級」「2級」「3級」「簿記初級」「原価計算初級」の5種類の資格があります。

「1級」「2級」「3級」は年に2~3回受験日があり、会場に行き筆記試験を受けます。

「簿記初級」「原価計算初級」はネット受験になりますので、商工会議所ネット試験施行機関が決定した日時に、試験施行機関にて受験する事ができます。

受験費

1級…7,850円

2級…4,720円

3級…2,850円

簿記初級…2,160円

原価計算初級…2,160円

(2019年7月現在)

合格者に聞く、日商簿記合格までの道のり

では、さっそく合格者に聞いた体験談をご紹介します。

今回は2級、3級合格者の人にアンケートを取りましたので、ご覧ください。

何度目の受検で合格しましたか?

3級

2級

自信がない方は、まず手軽に受験が可能な簿記初級の受験をお勧めしますが、まじめに勉強し、資格取得を目指すなら3級からトライしてみても良いかもしれません。

アンケート結果、3級合格者の1回での合格率と比べると、2級では難易度がグッと上がっているのが読み取れます。

どれだけの期間勉強しましたか?

3級

2級

3級合格者の人は半年で資格取得している結果になりました。

しかし、2級合格者のグラフを見ると2か月~2年と、人によって合格までの道のりは大きく違う結果になりました。

商工会議所が提示した2019年2月の受験データによると、

2級*実受験者数 49,766名*合格者数 6,297名*合格率 12.7%

3級*実受験者数 80,360名*合格者数 44,302名*合格率 55.1%

こちらのデータをご覧いただいてもわかるように3級から2級への難易度の上がり具合がわかります。

どのような勉強法をしましたか?

日商簿記検定の合格者はどのような勉強をしたのでしょうか。合格者に訊いてみました。

その結果、全体の72%の人が「参考書」と「問題集」を使用、45%が「過去問」を使用して勉強をしていたという事が判明しました。また、全体の20%の人は「資格の学校」へ通って勉強をしていました。

では次は彼らが具体的にどのような勉強法をしてきたのかを紹介します。

全く知識が無い所からスタートして合格

簿記の知識はまったくなかったので、まずは書店で購入できる簿記三級の参考書の中でも、最も解説が平易なものを購入し、通読することでまずはまんべんなく知識をつけました。

その本はとても分かりやすかったのですが、解説が主である分、練習問題が基礎的なものが少量しか記載されていなかったので、図書館で問題集と過去問パックを合計二冊解きました。

前者はよく出るパターンを繰り返し解くことで解き方を頭に叩き込むため、後者は実際に試験だと思って解いてみることで、時間配分やミスをしやすい部分の確認など細かい調節をするためです。

また、某資格学校が開いている三日間の直前講習にも参加し、実際の試験とまったく同じ形式の予想問題を5セット解きました。

同じシリーズのテキストと問題集を揃えて勉強

2級の取得を最終目標にして、まず3級から受験しました。

テキストと問題集は、評判のよいものをネットで探して、同じシリーズのものを選びました。
イラストや図表が多いて取り組みやすいと感じた、スッキリわかるシリーズです。
一単元ごとにテキストを読み、問題集を解くを繰り返しました。
問題集には総合問題が少なめでしたので、問題集を解き終わったら、過去問題集も購入して、実際の試験問題に慣れるようにしました。

3級の試験には自信を持って臨め、一度で合格したので、3級の合格直後から2級の勉強を始めました。
同じシリーズのテキストと問題集を使って、同じ学習方法にしました。

2級の実際の試験では、予想しなかった仕分け問題が出題され、最初はパニックになりましたが、簿記の試験では部分点をもらえることを思い出し、気を取り直して最後まで解き、一度で合格することができました。

テキストを繰り返し勉強

受験料がもったいないと考えたので、3級を取得せずにいきなり2級を取得しました。しかし簿記については何の知識もなかったので、まずは3級のテキストを購入し、1ヵ月間繰り返し勉強しました。

3級のテキストの付属のテストで8割取れるようになってから、2級のテキストを購入し勉強しました。
練習問題も含めて正解した問題に丸をつけていき、3つ丸がつくまで何回も繰り返しました。

家だとだらだらしてしまうので、お昼ご飯がてら外出しファーストフード店で3時間勉強したり、仕事帰りにまっすぐ家に帰らずカフェで数時間勉強したりして、勉強する環境をわざと作りました。

試験前には3級の模擬テストももう一度解き直し、穴がないように基礎を抑えました。

問題集で本番さながらの問題を解く

TAC出版の『簿記の教科書』と『簿記の問題集』で基礎を学び、『TAC直前予想あてる』の本番さながらの予想問題を解いて、勉強しました。

勉強した期間は1年間で社会人であるため、仕事が終わった後と土日の休みの日を利用して勉強しました。
つまり、空き時間を利用するので、短い期間で取得をしようとせずに、毎日コツコツと勉強していく手法です。
その為、テキストにある基礎の知識をしっかり覚えて、問題を解くときの基礎となる「仕訳」を何度も解きました。

その後、試験の2カ月ぐらい前から『TAC直前予想 あてる』の問題を本番のテストと同じ2時間で解くようにします。
このテキストは3つテストがあり、それを本番までに3回ぐらいずつ解き、本番のテストに慣れることと、苦手な所を見つけ出し、再度、『簿記の教科書』で見直しし、本番のテストで間違いないようにします。

簿記はルールを理解すれば簡単

参考書と問題集を購入して独学で勉強しました。

参考書を読んで理解し、その後に問題を解き、過去問や予想問題をひたすら繰り返します。
簿記の基本である仕訳や勘定科目の暗記などは単語カードを利用していつでも時間があるときに覚えられるようにしました。

貸借対照表や損益計算書は解くのに時間がかかりますが、何度か問題を解いていくうちに出題方法の傾向が分かるようになり、簡単に解くことが出来るようになります。
勉強するときには、スケッチブックで覚えたい言葉や間違えた言葉、計算などに使いました。

損益計算書や貸借対照表は問題集についているものをコピーして使い、何度も同じ問題を解きました。
簿記は最初は専門的な用語で難しく感じるものですが、ルールを理解すれば、比較的簡単に取得できる資格で、どんな会社にも会計は切り離せないものなので勉強する価値はあると思います。

電卓などの勉強の必需品がお気に入りだと勉強に対する意欲が向上すると思います。

スクールに通って説明に沿って勉強

資格取得の為ビジネススクールに通いました。
仕事を終わった後週に3、4日2、3時間程度スクールに行きテキストと問題集を使い講師の方が出演されているDVDに沿って勉強しました。

初めは簿記とは何なのかという内容からでその後仕分けや貸借対照表、損益計算書の作成方法、手形などの順で勉強していきました。
DVDだったので自分があまり理解できていないところは巻き戻して再度勉強しなおしました。

また、各章に毎に練習問題があったので躓いてしまった部分は繰り返し問題を解きました。
問題集は事前に何枚かコピーしておき問題集に直接書き込むのではなくコピーしたもので勉強しました。
用語なども家で声に出して読んだり何回もノートに書いて覚えました。

時間を意識して練習問題を解く

私は用語の解説がついたテキストと、問題集の2冊を購入して、独学で勉強しました。

始めにテキストを読んで、用語の意味を理解し、テキストを読んでも理解できなかった部分はインターネットで調べてメモしておくなどして、わからないところのないようにしました。

テキストを一通り読んだら、問題集に取り組みました。
問題集は繰り返し解きました。
実際の試験時間は2時間なので、練習問題や過去問題を解くときは、時間を計測し、時間も意識するようにしました。
そうすることで、より本番に近い緊張感を覚えることが出来ました。

問題集でわからなかった問題は、ノートに問題と解き方をまとめておき、振り返り安いようにしていました。
このノートは試験直前の確認にも役にたちました。

教科書と問題集をひたすら繰り返す

独学です。

本屋で教材を買って勉強しました。
「サクッとうかる」シリーズの簿記2級の教科書と問題集を商業簿記と工業簿記の合計4冊を購入しました。

勉強時間は平日は仕事で時間が取れないことがあったので時間が取れたときで1時間、休日は午前、午後で合計5時間くらい行いました。
勉強方法はまずは1日ごとにやることが区切られているのでそれに沿って教科書を2回読みました。

はじめはさらっと、多少わからないことがあっても読み飛ばして2回目はじっくり読みました。
そして、2回読んだ後は該当箇所の問題集の問題をといて、分からなければ解説と教科書を読み返しました。

それをひたすら繰り返しました。
そして、ネット上から過去問をダウンロードして試験の2ヶ月前からは過去問に取り組みました。

分からない所を放置しない

日商簿記2級、3級共に簿記専門学校の日商簿記検定講座を受講しました。

簿記はゼロからのスタートでしたが、授業はテキストと問題集があり、とても分かりやすかったです。
毎回授業が終わる時に小テストでその回の理解度を試されました。

特筆すべきは、その講座で最初に「決して予習をしてこないで下さい」と言われたことです。
理由は、予習で間違った概念や解き方を頭にインプットしてしまうと、授業の妨げになるとのことです。

簿記は規則が決まっているので、我流で違う方法を覚えても苦労するだけでなく、正しい答えを導けなくなるのです。
なので、毎回予習はせずに復習に力を入れました。
その日の授業で教わったことを確実に覚えていきました。
少しでも分からない所は、必ず先生に質問しました。

簿記は分からない所を放っておくと、次の授業でもっと分からなくなるので、その都度、解決していきました。

暗記と計算問題をしっかりやる

商業高校に通っていたので授業で主な項目について学び、後はひたすら問題集を解いてました。

商業簿記で特に重視してやっていたのは精算表です。

出た場合の配点が高いことや、正解しているかのチェックの際に、貸借対照表の繰越利益剰余金と損益計算書の当期純利益が合っているかを確認するため、正解しているかの判断しやすいです。

工業簿記では予算差異などの公式を覚えることを中心に勉強していました。
工業簿記は商業簿記に比べて、公式を暗記していれば解ける問題が多いためです。

文章問題の勉強は特にしていませんでした。
計算問題さえしっかりできていれば、ある程度の文章問題は解けることと、計算問題がしっかりできていないと合格点に届かないためです。

過去問を何度もやる

テキストを一度ざっと読み、理解の難しい所は印をつけておきます。
後から難しかった所を重点的に勉強します。
そして過去の問題を何度もやります。

どうしても理解できない部分は飛ばして、分かる所だけ書きます。
問題が難しくて分からなかった所は、後から答えだけ確認します。

何度も過去の問題をやっていくうちに、問題の傾向が分かってくるので、段々と点数が上がってきます。
徐々に短い時間でテストができるようになってくるので、余裕が出てきたら、理解できなかった問題をテキストを使って解きなおします。

そして次に、過去の問題を、難しかった問題だけ解いていきます。
簡単な問題は、もうやる必要がないからです。
試験前に、最終的に、全部の問題をやれば自信がついていいと思います。

特に効果があった勉強法

決め手は資格学校

最後に資格学校の講座に通ったことです。

それまでは独学だったので、自分で勝手に「これはこういうことだろうな」「この表記でもいいのかな」と判断してしまっている部分が多かったです。
疑問点をまとめておいて、講座が終わってから一気に講師に質問ができたことで、大幅に得点が上がったと思います。

また、「このような問題が出やすい」「ここは捨てる受験生もいる」といったテクニックも教わったことで、どのように効率よく問題を解いていくのかが分かるようになりました。

また、講座は老若男女様々な人が参加しており、誰もが真剣に問題を解いている姿におのずと鼓舞されました。

自分より早く電卓を叩き終わった人を見て焦ったり、模擬試験の点数が合格点に届かなかったりすることで、「自分も合格したい!」「周りの受験生に負けたくない!」という気持ちが強くなり、モチベーションが大きくなったことも大きなメリットでした。

仕訳の問題が重要

仕訳の問題を沢山やりました。

仕訳で間違うと貸借対照表まで辿り着けません。
それに仕訳の配点でかなりの点数が稼げるので、問題を見たらすぐに回答できるくらい、いろいろなパターンを練習しました。
仕訳が正解なら、貸借対照表はシステムなので、正解率はアップします。

また過去問も沢山やりました。
検定問題には過去問がかなり多く出ます。
過去に出た問題は確実に解けるようにしました。

同じ問題を毎日何回も解いて、ひと目で「あっ、あの問題だ!」と分かるくらい練習しました。

わからなかった問題をノートにまとめる

わからなかった問題をまとめたノートです。

自分の苦手な部分が一目でわかるので、空き時間に読んだり、直前の確認に役立ちました。

決算書の概念が分かれば全体像がつかめる

決算の考え方を学ぶことです。
簿記は決算書を作るための作業なので決算書の概念が分かれば全体像がつかめるからです。

あとは教科書、問題集、そして過去問をひたすら解きました。

同じシリーズのテキストと問題集を揃えて勉強

同じシリーズのテキストと問題集をそろえ、他には手を広げなかったことです。
知識が定着していないと感じたら、参考書に戻って読み直しました。

簿記を取得していて良かったと思うエピソード

最後に、合格者が語る、簿記を取得していて良かったと思うエピソードを紹介します。

  • 自分で簿記や確定申告ができること。
  • 事務職希望だったものの、店舗接客で就職した後、経理に異動することができたこと。
  • いろいろな企業の貸借対照表が理解できるので、経済や経営関連の本や話題が分かりやすくなったことです。やはり経済学や経営の本を読むと、どうしても貸借対照表に関係した話が出てきます。そんな時、簿記をやっていることで、内容がよく理解できるようになりましまた。
  • 株式運用を行っているのですが、会社の決算を読むのに役立ったことです。それによって健全な会社を見つけることができて、株式投資で儲けることができています。
  • 簿記を勉強したことで、お金にの管理に関心が持てるようになりました。今後もお金に関する勉強をしていきたいと思っています。
  • 転職において選べる仕事の幅が広がりました。
  • 仕事をしたいと思ったときに履歴書に書くことが出来ることです。また、子供の学校関係の役員をしたときに会計を任されましたが、簡単にこなすことが出来たことも良かったです。
  • 仕事には役に立ちませんでしたが、貸借対照表や損益計算書といった社会人として必要な知識としては持っていて良かったと思います。
  • 勤めていた会社が保険会社だったので、交通事故査定において被害にあった方の休業損害の算定に際し、確定申告の書類の内容が理解出来るようになったことです。
ここでは合格者のアンケートを元に、実際行われた勉強法やおすすめ勉強法をご紹介いたしました。

学習を進めていく上でのポイント
・過去問を解いて現在の実力をチェック。出題傾向を把握して対策。
・問題集で苦手な分野を集中的に勉強。
・時間を計って模試を行い、本番の時間配分を考えておく。
・知識のインプットとアウトプットをバランスよく行う。

いかがだったでしょうか。
受験に。社会人としての基礎知識に。
持っていて間違いなく為になる資格ですので興味が沸いた方は是非受験してみてください。
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