現代の日本 | 10分でわかる 中学公民まとめ
現代の日本では、戦後日本がどのように発展してきたのか、そして社会がどのように変化してきたのかを見ていきます。他の単元でも関連の問題が出題されるため、概要を理解することが求められます。
はじめに
1945年に第二次世界大戦が終結し、日本は敗戦国となりました。しかし、そこから日本は急激的な経済成長を遂げ、1968年には当時の西ドイツを抜き、世界第二位の国民総生産(GNP)を誇る経済大国へ躍進を遂げました。
しかし、そこからは石油危機による経済衰退や1980年代後半から1990年代初頭にかけてのバブル景気など、経済状況は目まぐるしく変わっていきます。
このように戦後の日本経済は継続的に成長を遂げてきたわけではなく、様々な要因によってその状況は変化してきましたので、この流れを掴むことに重点を置いていきましょう。
また、経済だけではなく私たちの生活も大きく変化してきました。今や日常生活に欠かせないスマートフォンやパソコンなど、技術が進歩してきたことによって、その恩恵を受けることが出来ています。情報が非常に大きな価値を持つ時代となり、情報化社会への理解を深めていきたいところです。
現代はグローバル化が進展し、海外との結びつきが強くなったり距離が近くなったりしています。
現代の日本では、日本の発展やそれに付随する課題を理解していくことが重要になってくるでしょう。
日本の経済
戦後~高度経済成長期
1945年7月にポツダム宣言が採択され、日本はこれを受け入れました。同年8月15日に戦争で敗れたことを国民に発表し、これにより世界中を巻き込んだ第二次世界大戦が終結しました。
第二次世界大戦直後はマッカーサーをトップとしたGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)に占領され、そこから復興の道のりを歩み始めました。
1950年に勃発した朝鮮戦争では在日アメリカ軍から軍事品の発注を多く受けたことから、特需景気により大幅に回復しました。
また、1951年にサンフランシスコ平和条約を締結、GHQの占領が終了したことにより、日本の主権が回復し、独立国として国際社会に復帰しました。
1955年あたりからは、重工業の発達や製品の輸出が進んだことから高度経済成長期を迎えます。当時の経済白書には「もはや戦後ではない」という文言が記載されるなど、戦後からたった10年ほどで日本は大きな経済回復を成し遂げたことが読み取れます。
1964年に開催された東京オリンピックの影響も受け、高度経済成長を後押ししていきました。
この時代には白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫が三種の神器と呼ばれ、大衆へ広く普及していきました。さらには、カラーテレビ・車・クーラーは3Cと呼ばれ、日常生活がより便利なものへと発展していきました。
1968年には当時の西ドイツを抜いて、世界第2位の経済大国に躍り出ました。これによって名実ともに先進国の仲間入りをしたと言っても良いでしょう。
石油危機による経済停滞
目まぐるしい経済発展を遂げていた日本でしたが、中東で1973年に石油危機(オイルショック)が発生すると、これまでが嘘であるかのように経済が停滞してしまいます。
石油の価格が急激に上昇し、それを中東からの輸入に頼っていた日本は大きなダメージを受けてしまったのです。
それによって20年弱に及ぶ経済成長を遂げていた日本は、石油危機の翌年である1974年に戦後初めてのマイナス成長を記録することになりました。
石油製品の価格が大幅に上昇し、トイレットペーパーや洗剤などが店頭から姿を消すなど、私たちの日常生活にも大きな影響を与えたのです。
バブル経済
1980年代中盤に入ると、政府や日本銀行の政策によって、株式や不動産などの価格が急激に上昇するなど、バブル経済となりました。いわゆる景気が良い状態で、1990年代初頭にまで継続的な好況が続くことになります。
この時代は企業の生産活動も非常に活発となり、人材の獲得戦略を大きく展開していきました。
しかし、1990年代初頭に入ると政府や日本銀行の政策がつまづき、バブル経済は崩壊してしまいます。その結果、これまでの景気が良い状態から一転して、不況の時代がやってくることになりました。
失われた10年
バブル崩壊後、景気後退や世界的な不況が重なり経済不況が訪れます。この時代はバブル景気とは異なり、金融機関や証券会社、その他企業が不況によって次々倒産していきます(平成不況)。
企業の生産活動が停滞すると、就職出来ない人々が多数現れ、この世代はロストジェネレーション世代(失われた世代)と呼ばれます。
バブル崩壊から2000年代初頭までの経済不況は失われた10年と言われます。
リーマンショック
2008年9月にアメリカのリーマンブラザーズという金融機関が経営破綻したことで、世界的な経済不況が発生しました。これをリーマンショックと言います。
日本でもアメリカと結びつきが強い企業やそれに関係する産業で大きなダメージを受け、景気が急激に悪化してしまいました。
少子高齢化社会の訪れ
人口構成の推移
日本の人口は2000年代中頃をピークに減少の一途を辿っています。それと同時に、年齢別の人口構成比も大きく変化しています。例えば、0~14歳の年少人口は全体に占める割合が少なくなってきているのに対し、65歳以上の老年人口が全体に占める割合は急激に増えているのです。
つまり、現在の日本は人口が減少しているにもかかわらず、高齢者の人口が増加している構造になっています。これは、年少人口が減少している状況と併せて少子高齢化社会と呼ばれます。
また、日本は65歳以上の高齢者が全体の25%以上を占めている超高齢社会となっており、これは世界トップクラスの水準です。
少子高齢化社会の課題
少子高齢化が進行すると、社会システムの維持が困難になるという課題に直面します。
例えば、医療費や年金などの社会保障費が増加することで、15歳から64歳までの生産年齢人口に該当する労働者への負担が大きくなるのです。同様に、高齢者をサポートする医師や介護職人材が不足することにもつながるでしょう。
少子化が進行すると、労働力が足りなくなってしまう可能性が高いと言えます。先述の社会保障を維持していく上では欠かすことが出来ない労働力ですが、少子化が直接的な原因となってしまう場合が予測されるのです。
労働力不足は一生働き続けなければいけないという構造を生み出してしまう可能性があります。年金制度があったとしても、最低限の生活に必要となる十分な年金が支給されずに働きに出なければいけなくなってしまうという事態が考えられるからです。
人生100年時代という言葉の登場と同時に、少子高齢化を解消しようとする動きが見られます。
例えば、子育てのしやすい環境を整備したり、ワークライフバランスを充実させるために企業が具体的な取り組みを実施したりなど、少子化を少しでも食い止めようとしています。少子化対策をすることは、高齢化社会の問題を解決する助けにもなりますので、社会全体で足並みを揃えた取り組みが必要になるのです。
情報化社会の恩恵と課題
情報化社会とは?
情報化社会とは、身近にあふれる情報が非常に価値を持ち、私たちの生活にとって欠かすことが出来なくなった社会のことを指します。
その典型的な事例として、情報の商品化が挙げられます。
例えば、好きなアイドルのファンクラブに月額の会費を払うと、特別なブログやメールなど、ファンクラブ会員限定の情報が入手出来る場合がありますが、これは情報が商品化され大きな価値を持つと言えるでしょう。
情報が商品として売り出されるというのは、何も最近始まったことではありません。
しかし、1990年代に入ると情報化社会が急速に進展し、私たちの生活に大きな影響を及ぼしてきたのです。
では、一体どんなきっかけがあったのでしょうか。
情報化社会の進展
1990年代半ば頃に、パソコンや携帯電話が広く普及するようになりました。これによって、情報網の整備やインターネットの利用が急激に進行し、情報化社会の到来を迎えました。
現在、パソコンやスマートフォンを利用したメールのやり取りや、チケットの購入、音楽や動画のダウンロードなどは当たり前となっていますが、私たちの生活に浸透してきたのはたった20年ほど前のことなのです。
それ以外にもテレビやその他家電製品がインターネットにつながり、いつでもどこでも様々な情報を取得出来るようになりました。
これから先には、いつでもどこでもインターネットにアクセスが出来るユビキタス社会がやってくるだろうと予測されています。
情報化社会の課題
情報化社会は私たちの生活に大きな恩恵をもたらしてくれました。非常に大きなメリットが見られる一方で、直面する課題もあります。
それはデジタルデバイドと呼ばれる情報格差の問題です。
今やパソコンやスマートフォンは私たちの生活にとって欠かせないものとなり、それらを利用することを前提にサービスが供給されることも多くなっています。
例えば、先ほども事例に挙げたファンクラブへの入会では、昔は紙の申請書を手書きで記入し、それを郵送して申し込みをするという形が一般的でした。
しかし、昨今はインターネットを通じてパソコンやスマートフォンの専用サイトへアクセスし、WEB上で申し込み手続きを完了させることが出来るようになりました。
これは非常に便利である反面、パソコンやスマートフォンがなかったり、インターネット環境が整備されていなかったりすると、ファンクラブへの入会申し込みは出来なくなってしまいます。
つまり、情報化社会の到来はパソコンやスマートフォンを保有しているかどうか、インターネット環境が整備されているのかどうかといった要素によって、大きな格差を生むことになってしまうのです。
比較的若い世代の人たちであれば情報機器を上手く使いこなせる傾向がありますが、高齢者の場合はそうでないといった世代間格差も大きな問題と言えます。
さらには情報が価値を持つ時代ゆえに、個人情報が流出した場合の対応も非常に重要になってきました。
様々な重要情報を管理する企業や官庁を狙った犯罪も多く発生しており、セキュリティ対策も必須と言えるでしょう。
このように情報化社会はメリットだけではなく、大きな社会問題を引き起こしていますので、私たちのリテラシーを高めることが重要です。
グローバリゼーションの到来
グローバリゼーションとは?
人やサービス、商品などが国境を越えて活発化して、世界との距離が縮まったことをグローバリゼーションと言います。
例えば、スーパーに行けば海外で生産されたお肉がたくさん並んでいる光景を目にするでしょう。
また、日本を訪れる外国人観光客も年々増えていることもそうですし、海外のチームでプレーするスポーツ選手も多くなっていることもグローバリゼーションの一例と考えられます。
第二次世界大戦以降、国際連合の発足や世界的な技術進歩によって、国と国の距離が縮まり、交流が増えています。
現代は世界との結びつきがなければ成り立たない社会となっており、これは日本だけではなく他国にも言えることです。
日本文化の継承と異文化理解
外国から様々な文化が輸入され、私たちの生活はより豊かなものへと進歩しています。
ただし、その中で特に理解しておかなければいけないことは、日本独自の伝統文化を守っていかなければいけないということです。
日本文化は長い歴史の中で様々な国の影響を受けながら作られてきたもので、他国ではあまり見られないという点で非常に希少価値が高いものとなっています。
しかし、昨今は日本文化の後継者が少なくなっており、いかに次の世代へそれを引き継いでいくかという課題があります。
様々な伝統文化を体験する企画も多く用意されており、自国の文化への理解を深めていく必要があるでしょう。
もちろん、自国だけではなく、他国の文化を理解することも大切です。
それは、グローバリゼーションを迎えた時代だからこそ、異文化理解を深めていくことが求められると言えます。
さいごに
日本は戦後70年余りで非常に大きな発展を遂げてきました。それは経済面だけではなく、情報化社会のような社会的側面にも言えることです。
一方で少子高齢化社会は先進国の社会問題として多く取り上げられますが、日本は世界有数の水準であるため、問題点や解決策について考える必要があります。
グローバリゼーションについては、様々な文化を理解していくことが大切になります。もちろん、日本の文化についても理解を深めることが異文化理解を深める上でも役立つものです。
本単元では、現代の日本が向き合う課題が多く取り上げられています。そのため、一人の国民としてどのような課題があるのか、その対応策などを自身の言葉で表現出来るようにしておきたいところです。
特に自身の考えを記述しなければいけない問題は多く出題されますので、他の公民分野を学習する際の基礎固めとして本単元を捉えて下さい。