気候 | 0から始める高校地理まとめ

我々の生活形態を大きく左右するのは気候と言っても過言ではありません。その気候は地域によって、その様相を大きく変えます。さらには、様々な要因が重なった結果、他の地域とは異なる気候が形成されることもありますので、一つひとつ丁寧に学習することが望ましいです。


メイン画像

はじめに

地理を学習するうえで、気候はトップクラスに重要な単元と言っても過言ではありません。地形と同様に、我々の生活に大きく影響していることもあり、大学受験では、センター試験(新センター試験)や各大学の問題には必ずと言って良いほど、出題されます。

ここで、我々の生活と気候がどのように関連しているかをイメージしてみましょう。
例えば、天気予報で降水確率100%と言われたら、間違いなく傘を持って外出しますよね。雪が降る場合は、公共交通機関が麻痺したり、雪国であれば、車のタイヤをスノータイヤに交換すると思います。
このように我々の生活は、気候に大きく左右されるのが現実です。

さらには、その地域の気候によって、そこで栽培できる農作物が変わってきます。
つまり、気候は農業の単元にも大きく関わってきます。
ここでも、覚えなければいけない事項はたくさんありますが、まずは、各地域の気候とその特徴、また、高校地理ではケッペンの気候区分(アルファベット)を大まかに理解することから始めましょう。

気候の形成

「そもそも気候ってどのように形成されるのか?」ということを理解しておく必要があります。そうすれば、内容をスムーズに理解することが出来ます。

気候は大きく分けて、気候要素気候因子で成り立っています。
気候要素とは、気温、風、降水量が代表的な事例となります。さらには、気候要素に影響を与えるものとして、気候因子が挙げられ、具体的には緯度や海抜高度、海流、隔海度(海からどれくらい離れているかの指標)がそれにあたります。
その地域の気候は、気温や降水量だけでは決まりません。

例えば、赤道周辺の低緯度地域ほど、気温は高くなりますし、高緯度地域のわりには、海流のおかげで、温暖な地域もあります。
さらには、同緯度の地域でも、標高の高い方が寒くなるのは容易にイメージ出来ると思います。
このように、様々な要因が重なって、その地域に気候が形成されるのです。

日較差と年較差

気候を学習するうえで、一度は目にする単語が、日較差年較差です。日較差は、1日の最高気温と最低気温の差を表し、隔海度が大きくなるほど、つまり、海から離れた内陸部になればなるほど、日較差は大きくなります。
年較差は、最暖月の平均気温と最寒月の平均気温との差を表し、内陸部や大陸東岸は年較差が大きく、大陸西岸では海流や偏西風の影響を受け、年較差は小さくなります。

大気の大循環

地球で起こっている大気の流れを大気の大循環と言います。
緯度によって日射量が違うことや、時点の影響を受けることで、大気の大循環が発生します。大循環という難しい言葉を使っていますが、風だと思って頂ければ問題ありません。
地球では、緯度帯によって、風同士が収束する場所で、高圧帯や低圧帯を形成します。風は高圧帯から低圧帯に向かって吹き出すため、下記のように大気が循環します。

大気の大循環

おおよそのイメージとして、緯度30度ずつに一つの気圧帯が分布していると理解すれば問題ありません。高圧帯から低圧帯に向かってそれぞれ風が吹き出していますが、風の名称は頻出ですので、風の種類と吹いている緯度帯に注意して下さい。
なお、上記は北半球の事例ですが、南半球も同様の形で気圧帯が分布します。
ここで一点、注意事項として、これらの風と季節風は何が異なるのかよく分からないという声を耳にします。季節風は気圧帯の影響ではなく、海と陸地の比熱差で生じるものです。夏は大陸の方が暖かいため、上昇気流が発生し、気圧の低下に繋がります。
その下がった気圧を補うように、風が海から吹いてくるため、夏の季節風は海側から吹き、その際に海面にある水分をたっぷりと含み、大陸に吹いてくる頃には、雨をもたらす風となっているのです。
なお、冬はこの逆だと考えて頂ければ問題ありませんが、冬は水分の少ない大陸側から吹きますので、冬の季節風は、局所的な理由がない限り、乾燥しています。

また、高校地理では局地的な風も出題されやすいので、注意が必要です。代表的なものはフェーンになりますが、それ以外にも、シロッコやミストラルといった局地風の特徴も併せて理解しておくと良いかもしれません。

ケッペンの気候区分

高校地理の気候で最も出題されやすい問題が、ケッペンの気候区分になります。ケッペンはドイツの気候学者で、気候分類のパイオニアと言っても過言ではありません。
ケッペンは、気候を分類する際に、植生に注目しました。まずは、樹林気候と無樹林気候に分けるのです。そこから気温や降水量を参照し、5つの気候帯と12の気候区分に分類しました。それぞれを細かく見ていく前に、まずは下記の概要に目を通してみましょう。

ケッペンの気候区分

上記の表を見て、覚えなければいけない内容が多くて大変と思う人もいるでしょう。しかし、一見関係のない内容であっても、関連性があります。例えば、小文字の「f」や「w」は樹林気候の熱帯(A)、温帯(C)、冷帯(D)に共通する文字です。
一方で、無樹林気候の乾燥帯(B)と寒帯(E)では、全てが大文字で表記されています。この違いは何でしょう?
実は、小文字の「f」には年中湿潤、や「w」には冬乾燥という意味があります。それと同時に、Csに登場している小文字の「s」は夏乾燥という意味があります。
つまり、小文字はどの時期に雨が少ないかという意味を表すということが分かりますね。
これだけでも理解をすれば、熱帯(A)、温帯(C)、冷帯(D)の特徴が掴みやすくなります。

一方で、乾燥帯(B)に登場する大文字の「W」には「砂漠」という意味があります。大文字の「S」は「ステップ」という意味があります。
つまり、乾燥帯(B)では、「W」や「S」が降水量を示すものではないことが分かります。大文字と小文字で意味合いが変わってくることを覚えておきましょう。
さらには、寒帯(E)に登場する大文字の「T」には「ツンドラ」という意味があります。
そして、大文字の「F」には「氷雪」という意味があります。

ここでも大文字と小文字の違いを理解しておくことが、内容をスムーズに理解するための一歩になります。

熱帯(A)

熱帯は、最寒月の平均気温が18℃以上という、非常に暖かい気候帯です。そのため、赤道周辺にしか分布していないことを頭に入れておきましょう。なお、お手元に教科書や資料集を置き、雨温図を見ながら学習をすると、効率が上がりおススメです。

  • 熱帯雨林気候(Af)

(代表例)シンガポール
最大の特徴は、年中高温多雨であることです。強い日差しに照り付けられ、毎日午後にはスコールが降ります。
また、高温多雨であることから、セルバやジャングルといった、熱帯雨林が分布していることが特徴的です。
さらには、土壌も栄養分が流出した赤い土壌(ラトソル)が広がっています。ちなみにラトソルは、アルミニウムの原料となるボーキサイトが豊富に採れることで知られています。

  • サバナ気候(Aw)

(代表例)コルカタ
サバナ気候には、明確な雨季と乾季が存在します。基本的には「w」がついていますので、冬に乾季があると理解して下さい。丈の長い草原が分布していることが特徴で、綿花やコーヒー栽培が盛んな地域です。

乾燥帯(B)

乾燥帯が分布する理由に、年間を通して、中緯度高圧帯に覆われることや、沿岸に寒流が流れていること、海からかなり離れているがために、降水の原因となる海からの水蒸気が届かない等が挙げられます。降水がほとんどないため、草木が生えない砂漠が形成されるか、短い丈の草原(ステップ)が広がるだけです。
ちなみに、勘違いしてはならないことは、乾燥帯=高温乾燥と必ずしもならないということです。
高緯度地域にもほとんど雨が降らない場所がありますので、そういった場所は低温乾燥の気候が広がっていることにも留意しましょう。

  • 砂漠気候(BW)

(代表例)カイロ
年間降水量は250㎜以下のため、草木が生えずに砂漠が広がる気候です。基本的には定住することが難しいため、人がほとんど住んでいないようなイメージをして頂いても問題ありません。

  • ステップ気候(BS)

(代表例)ラホール
ステップ気候も乾燥していますが、砂漠気候(BW)ほどではありません。ただし、基本的には、長い乾季に短い雨季ですので、草木が常に生い茂っているわけではありません。しかし、わずかな雨季がありますので、丈の短い草原(ステップ)が広がっていることが特徴的です。また、栗色土という土壌が広がっており、ウクライナにはチェルノーゼムと呼ばれる、穀物の栽培が非常に盛んなことで有名です。

温帯(C)

温帯は、最寒月の平均気温が-3℃以上18℃未満に分類される地域が該当します。つまり、我々の住んでいる日本もこの気候帯に属するわけです。
この気候帯が最も細かく分類されますので、一つひとつ丁寧に理解を深めていきましょう。

  • 温暖湿潤気候(Cfa)

(代表例)東京・ニューヨーク
年間を通して、比較的湿潤で、最暖月の平均気温が22℃以上になります。
夏に季節風の影響を受け、雨が多くなります。温暖湿潤であるため、世界的な農業地帯が多く分布しており、アメリカのプレーリーやハンガリーのプスタ等の地域では、穀物の栽培が盛んです。
土壌は褐色森林土が広がっており、非常に肥沃であることが、良好な農業環境を作り出していると言えます。
なお、後述の西岸海洋性気候(Cfb)との違いが少し紛らわしいため、どのような違いがあるかを意識しながら学習を進めて下さい。

  • 西岸海洋性気候(Cfb)

(代表例)ロンドン
年間を通して、比較的湿潤ですが、温暖湿潤気候と異なる点は、最暖月の平均気温が22℃未満になることです。そもそも、この気候ですが、比較的高緯度のわりに、暖かいことが特徴です。
その原因は、沿岸を流れる北大西洋海流偏西風の影響を受けるためです。
ですので、ロンドンは稚内(北海道)よりも高緯度に位置しているにも関わらず、稚内よりも暖かい気候を作り出せているのです。
なお、西岸海洋性気候の文字通り、ユーラシア大陸の西岸にしか位置していない気候であることも理解しておきましょう。

  • 温暖冬季少雨気候(Cw)

(代表例)昆明
冬に降水量が少ない点が特徴です。一方で、夏の降水量は冬の10倍以上になりますので、季節によって降水量の差が一番激しい気候区分と言っても過言ではありません。ユーラシア大陸の東岸に位置し、コメの二期作が行われています。

  • 地中海性気候(Cs)

(代表例)ローマ・パース
文字通り、地中海沿岸に分布し、夏に高温乾燥することが特徴的な気候になります。ただし、アメリカ西部やオーストラリア西部にも位置しておりますので、地中海以外にも分布していることを頭の片隅に置いておいて下さい。
その気候を活かし、夏は柑橘類、冬は小麦の栽培がルーティン化している地域が多いですし、強い日差しを防ぐために、窓が非常に小さく設計された石灰岩の家が多いですね。

冷帯(D)

冷帯は、最暖月の平均気温が10℃以上、最寒月の平均気温が-3℃未満になる気候体です。基本的には北緯50度以上に分布しているイメージを頭に入れておきましょう。なお、南半球にはこの緯度帯に分布する陸地がないため、冷帯は分布していません。また、冷帯までになると、木々は針葉樹林となり、タイガと呼ばれます。

  • 冷帯湿潤気候(Df)

(代表例)モスクワ
冷涼な気候の中でも、年間を通して湿潤である点が特徴的です。大陸性気候であるため、夏は高温、冬は寒冷となりますので、非常に年較差の大きい気候です。寒い地域のため、農業はそこまで盛んではありませんが、春小麦の栽培が盛んである点は押さえておきましょう。

  • 冷帯冬季少雨気候(Dw)

(代表例)イルクーツク
冷涼な気候の中でも、冬に乾燥します。この気候が分布するのはユーラシア大陸東岸の内陸部になります。この気候が分布するオイミャコンでは、南極を除いた地域で、最も低い気温(-71.2℃)を記録したこともあるくらい、寒さの厳しい地域です。
しかし、夏は少し暖かいため、年較差は冷帯湿潤気候(Df)以上に大きくなります。

寒帯(E)

寒帯は、年間を通して、寒さが厳しいため、樹木が生育しない環境となっています。しかし、場合によっては、少々の植物も生育する気候帯ですので、気温に注目して、理解を深めていきましょう。

  • ツンドラ気候(ET)

(代表例)バロー
ツンドラ気候は、夏に10℃近くになることから、短い夏に雪解けをし、植物が生育する環境です。その一つのツンドラはこの気候区の由来にもなっています。

  • 氷雪気候(EF)

(代表例)昭和基地
最暖月でも平均気温が0℃を上回らないため、非常に寒さが厳しい気候になります。そのため、植物も生育しない環境が広がっています。
主に、グリーンランドの内陸部や南極に分布しています。

さいごに

いかがでしたでしょうか。気候帯は冒頭で申し上げた通り、農業にも大きく影響してくる単元ですので、一つひとつ、時間をかけても良いので、確実に理解を深めていくことが望まれます。

〇まとめ〇

まとめ画像

ケッペンの気候区分では、共通するアルファベットにどのような意味があるかを理解することで、学習の効率が格段に上がります。こちらも地形と同様に、最初からすべてを理解しようとせずに、大枠を掴むことから始めましょう。

ケッペンの気候区分では、共通するアルファベットにどのような意味があるかを理解することで、学習の効率が格段に上がります。こちらも地形と同様に、最初からすべてを理解しようとせずに、大枠を掴むことから始めましょう。
 おすすめの勉強アプリはコチラ