古文常識の勉強法 | 古文完全攻略勉強法
古文常識の勉強法です。
暦や季節、また身分に関する古文の常識、またその勉強法を丁寧にわかりやすく解説します。
高校の授業対策や、大学入試、センター試験対策に是非ご活用ください。
古文常識の身につけ方
さて、動詞や助動詞の活用、敬語表現の知識などを暗記したら、いよいよ読解で実戦経験を積んでいきましょう。
とはいえ、すぐに何でもスラスラ読めるとは限りません。
なぜなら、当時は当たり前であえて説明するまでもない「常識」が、私たちにはたいてい未知の事柄だからです。
今回は、そのような「古文の常識」について解説していきたいと思います。
暦や季節に関する常識
現代の感覚が通用しない例としては、たとえば「季節の節目」が挙げられます。
現代で「春」といえば3月から3ヶ月間くらい、冬は12月から2月、とイメージする人が多いでしょう。
しかし、古文の舞台となる平安時代ごろは「立春」「立夏」「立秋」「立冬」を境に季節がくっきり分かれています。
どんなに寒くても、立春を過ぎたら春です。
また、旧暦、陰暦といった言葉を聞いたことがあるでしょうか。現在1月、2月とよんでいる月には、かつて「睦月、如月、弥生……」とそれぞれに名前がありました。
しかし、これらの暦は現在のカレンダーとぴったり合致せず、1ヶ月ほどのずれがあります。
現在の立春(現在の暦では2月4日ごろ)が、かつての睦月の始まりに当たります。
つまり「春が始まる=新しい1年が始まる」ということだったのです。
この文化の中では、春は1~3月、夏は4~6月、秋は7~9月、そして、冬が10~12月と定められています。
慣れていないと夏・秋のあたりが正しく解釈できませんから、ぜひ覚えておいてくださいね。
これは古文にかぎらず、たとえば国語で俳句を勉強する際にも使える知識です。
俳句には原則として季語を入れるルールがありますが、数ある季語のうち、実は「朝顔」は秋の季語です。
え、と思われるかもしれませんが、上述のように7月~9月は「秋」ですから、古文常識が頭に入っていれば対応できますね。
身分に関する常識
かつての都、特に朝廷や帝の後宮では父親の肩書きが絶大な影響力をもっていました。
大臣の家の息子と下級貴族の息子とでは、出世コースがまるで違います。
女性も同様です。
帝の後宮でも、家の格によって女性たちの立場が規定されました。
あの『源氏物語』の冒頭は、たいした家の出ではないのに帝に深く愛された女性「桐壺更衣」に周りの女性たちが嫉妬し、嫌がらせをするというエピソードで始まります。
更衣というのは、後宮の女性の中では低い身分です。
桐壺更衣は後宮へ入る直前に父親を亡くし、後ろ盾のない状態ですから、立場としては非常に弱い女性。
それに対し、嫉妬する側の女性たちは、父親が大臣として活躍中の「女御」など、力のある人々でした。
本来、帝も有力な家臣の娘を寵愛して「中宮」とするのが一般的なモデルだったようですが、彼女たちを差し置いて桐壺更衣と運命的な大恋愛をしてしまったため、物語の歯車がまわり始めるのです。
家や父親の格が子にも受け継がれ、ある意味ひどく閉鎖的な空間ですが、当時は「そういうもの」だったのです。
また、ひと口に「大臣」といっても、右大臣と左大臣がいます。
そして、より立場が上なのは「左」のほうです。
ですから、右大臣の娘と左大臣の娘が同時に後宮に入っていて、しかも帝がどちらの娘に対しても同じくらいの愛情をもっていたら、左大臣の娘が最終的に中宮になれる確率が高いと考えられます。
もちろん帝にも好みがあるでしょうし、その他の事情も関わってくることですから一概には言えませんが、身分というのが大きな要素であることは心に留めておいてください。
古文常識を身につけるには
今回はおもな「古文常識」の例として、季節と身分に関することをご紹介しました。
しかし、これらの内容を教科書で暗記しようとしても具体的にイメージしづらいですし、なかなか難しいでしょう。
おすすめの勉強法は、勉強らしくありませんが「漫画を読むこと」です。
たとえば源氏物語を漫画化した作品から、桐壺更衣の心細さを視覚的に感じる。
また、桐壺更衣が大恋愛の末に出産する主人公「光源氏」の美しさ、母への思慕、母のおもかげを探して多くの姫君と恋愛していくさまを見る。
こうして作品そのものに触れることで、より自然に「当時の常識」を感じられると思います。
文法事項はテキストで暗記していくしかありませんが、リラックスした状態で「当時の空気」になじみ、両輪を大切にして古文の読解に挑んでいってください。