敬語の覚え方【古文】 尊敬語、謙譲語、丁寧語まで一覧表を見ながら徹底解説

古文の敬語の覚え方です。
尊敬語、謙譲語、丁寧語など、古文の読解(特に主語の把握)のポイントとなる敬語の覚え方について丁寧にわかりやすく解説します。
高校の授業対策や、大学入試、センター試験対策に是非ご活用ください。

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敬語一覧表

古文敬語一覧
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敬語動詞の種類と覚え方

敬語動詞の種類と覚え方
文語にも口語と同様、敬語表現があります。
口語でいう「おっしゃる」のように、動詞としてそのまま使われるもののほか、「お待ち申し上げます」の「申し上げます」のように補助動詞として用いられるものもあります。
また、敬語とひと口にいっても尊敬語、謙譲語、丁寧語と3種類の表現がありますから、混同しないように丁寧に記憶しておきましょう。

尊敬表現をする動詞、補助動詞

【本動詞】
まずは、おもに相手の行為を高める「尊敬語」の本動詞について見ていきましょう。

一覧表を見てください。
口語の「おっしゃる」や「いらっしゃる」、「めしあがる」などに相当する動詞が並んでいますね。
けれども、「活用」の段に目をやるとラ変やサ変、四段など、すでに馴染みのある語が多いことに気づけると思います。
敬語動詞といっても動詞の一種ですから、活用パターンはすでに覚えているものがそのまま使えるのです。

したがって本動詞の場合、新しく暗記する必要があるのは、敬語動詞とそれに対応する普通語(通常の動詞)の組み合わせということになります。
動詞の活用はすっかり頭に入っていることが前提になりますから、記憶がおぼろげ、という人はぜひ復習をしておいてくださいね。
さて、口語の敬語については小中学校の授業でも教わったかと思います。
たとえば「言う」の尊敬語は「おっしゃる」、「する」には「なさる」、というように、決まった表現が対応していましたね。
それと同じことが古文でも起こります。
古文の「おっしゃる」は「のたまふ」、これは現代でも「○○なんてのたまうから」といった形で、おもに皮肉っぽい言い回しとしてですが残っています。

「たまふ」というのも、口語に「たもう」の形で生きていますね。
くださる、あるいは(ある方が自分以外の誰かに)お与えになる、という意味です。

ほかに、ラ変動詞の活用でも少し登場した「いますがり(いまそがり、とも)・みまそがり」や、サ変動詞「おはす」などが敬語動詞として存在します。
これらの動詞はたいていの場合、目上の人物の行為として出てきますから、比較的気づきやすいでしょう。
また、現代ではほぼ見かけることのないユニークな言い回しがあるのも、敬語動詞の魅力です。
たとえば「大殿ごもる」。
何のことだろう、と思われるかもしれませんが、想像してみてください。
宮殿の建物、室内にこもる……なんとなく、一日が終わって私室に入るイメージがありませんか?

これは「就寝される・おやすみになる」の意で用いられる動詞です。
頻出ではありませんが、息抜きに空想してみるのもおすすめですよ。

【補助動詞】
尊敬表現として、もうひとつ。
ほかの動詞の下について補助的に敬意を表現する「補助動詞」もおさえておかなくてはなりません。
特に「たまふ」は必ず覚えてください。
というのも、四段活用(a・i・u・u・e・e)の「たまふ」は尊敬の補助動詞、下二段活用(e・e・u・uru・ure・eyo)の「たまふ」は謙譲の補助動詞と、古文には2種類の「たまふ」が混在するのです。
これを取り違えてしまうと敬意の対象がとらえられず、いったい誰が何をしているのか全く読みとれなくなります。

古文が難解な理由のひとつに、必ずしも主語がない、ということが挙げられます。
そのため、文の意味をとらえるには個々の助動詞や敬語表現を手がかりにして「主語は誰か・何か」を見定めることが必須です。
謙譲表現と尊敬表現を取り違えると主語もぶれてしまいますから、読解が絶望的に難しくなります。
のちのち困らないよう、少なくとも補助動詞「たまふ」についてだけは確実に理解しておいてください。

謙譲表現をする動詞、補助動詞

続いて、謙譲語について見ていきましょう。
こちらも尊敬語と同様、本動詞として用いられる場合と、補助動詞として用いられる場合があります。
口語で「行く」が「参る」になるように、文語の「行く」も「まゐる」という謙譲語を用います。

ただし、同じように「行く」行為でも、特に寺社へ参詣する場合には「まうづ」を用いる(現代でも「もうでる」とか「初もうで」といった言葉が残っているので、手がかりにしてください)など、シチュエーションによって動詞が違うという特徴があるので、それらも徐々に覚えていけるとよいですね。
さしあたっては、四段活用の「まゐる(参る)」「申す(申し上げる)」「たてまつる(さしあげる)」など、口語の謙譲語と似ていて覚えやすいところから暗記することをおすすめします。
なお、古文の謙譲語にも尊敬語と同じく、ユニークな動詞があります。
「きこえさす」というのがそれです。目上の方に直接「言う」のではなく、その方のお耳に入るようにする、聞こえさせる、と、かなり婉曲な表現をすることで敬意を表すのです。

余談ですが、身分の高い方は名前をじかに呼ばない、むしろその方のお住まいである「殿」とか「北の方(寝殿造りのお屋敷では、正妻は北の棟に住みました)」でその方を指す、という文化がありました。
直接的な言葉より、遠まわしな言い方のほうが敬意を表せるというわけです。
そのせいで勉強する私たちは苦労させられますが、この特徴もふまえたうえで、古文に取り組んでいきましょう。
また、補助動詞も重要です。
先ほど、尊敬の補助動詞「たまふ」と謙譲の補助動詞「たまふ」の識別が非常に大切ということを述べました。
この2つは活用パターンが違い、尊敬の「たまふ」は四段活用、謙譲の「たまふ」は下二段活用ですから、下についている語から「たまふ」が何形に活用されているかを見極め、尊敬・謙譲どちらの「たまふ」なのかを見抜いてください。

ただし、文末に「たまふ」が来ていた場合、終止形を見ただけではどちらの「たまふ」か区別ができません。
この場合は、仕方ないのですが文脈から推測するしかありません。
とはいえ、ある程度の経験をつめば推測も正確性が上がっていきますから、終止形の「たまふ」についても追々わかるようになるはずです。

丁寧語

口語の「あります・います」や「です・ます」に相当する語が「さぶらふ・さうらふ」「はべり」です。
さうらふ、という文字だけではピンとこないかもしれませんが、候(そうろう)という音は聞いたことがあるのではないでしょうか。
尊敬語・謙譲語に比べて種類がたいへん少ないため、暗記は比較的しやすいと思います。
その分、尊敬と謙譲の敬語動詞、またその意味と識別法(活用パターン)の暗記に注力してください。
敬語の知識が頭に入れば、古文はぐっと読解しやすくなります。
ややこしい事項も多いですが、あと一息ですから、あきらめずにがんばりましょうね。

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